眠らない街の眠れない夜 第一話
 
〜ある平凡なフェザーンにおける一家庭の夕べ
 
「ええええええぇぇぇぇぇえええええ!父さん明日の休みなくなっちゃったの!」
フェザーン自治政府に勤める平公務員である男の息子が顔中に不満を表し絶叫する。
男の妻もご飯をよそった椀と箸を置き流石に残念そうな顔をする。
「いきなり、なのね」
「ああ、同僚の一人が階段を踏み外して足のを軽く捻ったらしくて。大事は無いそうなんだが、明日の仕事は無理らしい」
味噌汁をすすりながら男も少し顔を曇らせて言う。
この親子三人は明日のラインハルト・フォン・ローエングラムの戴冠式に合わせてピクニックに行く予定だった。そんな日は誰もがTVに釘付けですいているという予想のもとに。
「そんなに大事なお仕事なの?」
「あ、ああ。大事といえば大事だろうな。今回の式典のゲストの案内役なんだ。同盟のヤン元帥は知っているだろう?彼はフェザーンには不案内だろうということでな」
男の妻と息子は内心男の無知を嘲笑った。知っているかだと?勿論「奇跡のヤン」の名は知っている。しかし、フェザーンではヤン・ウェンリーの名はそれ以上の意味をもつのだ。
この貪欲な繁栄と栄光と破滅の混沌とした惑星の象徴である三本の柱のうちの一つ。「神楽師」ヤン・ウェンリー。
それにしても・・・と二人は今度は男にそれを命じた上役どもを笑った。あの「三柱」の一人ヤン・ウェンリーにこのフェザーンで案内役をつけようとは良くぞ言ったものだ!
いや。と妻は思い出す。今の暫定自治政府の主席は月下街の出身だからもしかしたらこの話は帝国の方から要請があったのかもしれない。夫には隠しているが実は妻は地下茎の会の幹部であったりもする。
「償いのつもりかは知らないが、式典の後の夜会に家族を招待しないかと言われたんだ・・・が、急な話でもあるし、厭なら断って・・・」
「「行く!!!!!!」」
突然椅子を蹴立てて立ち上がった普段は穏やかな妻といきなり机に両手を叩きつけて椅子の上に立ち上がった普段から元気な息子に内心怯みながら、物静かな性質の男はゆっくりと頷いた。
「あ、ああ。そう伝えておく」
男は拡大再生産的に不安が広がっていくのを押さえる事が出来なかった。
 
〜朝帰りはいけませんか?
 
「すぴーーーすぴぴぴーーー」
至極幸せそうに眠る某元帥を囲んで彼の部下たちは複雑な表情で顔を見交わしていた。
着いていきなり姿を晦ましたと思ったら、悪びれもせずいきなり朝帰りをしてその挙句そのままの勢いで爆睡中である。起きそうに無い。
一体何処から怒ればいいのかすらもわからない。そもそも彼はどうやって目立たないように厳戒態勢のしかれた宙港から姿を晦ます事が出来たのだろうか?
彼の部下たちは知らなかった。このフェザーンで彼の進路を妨げるのは不可能だということを。
『夕べ寝てないから、起こしたら夜会の最中に寝る』
という、外交上甚だマズイ脅しをかけ(しかし、冷静に考えればただの理不尽な部下苛めである)熟睡中である。
彼は書類上では既に退役した事になっている。が、絶大な権力を握ったラインハルトの「どうしても、ヤン・ウェンリーを戴冠式に招待したい!」というわがままと、ヤンの「なにがなんでも退役してやる」という笑顔の脅迫の板ばさみになった同盟政府の苦肉の策である。
『退役届けを受理する変わりに、ラインハルト・フォン・ローエングラムの戴冠式の夜会に一時間だけ出席する事』
同盟政府の決断は正解であった。この上ヤンに式典にも出ろなどといった日には確実に途中で寝ていたであろう。
「失礼、フェザーン自治政府のものですが・・・」
そこに開きっぱなしの入り口の向こう側で遠慮がちな声がする。
「あ、はい。お話は伺っております。ご苦労様です・・・あの、でも・・・」
フレデリカが招きいれながら応えるが言いにくそうに尻すぼみになる。
「あ、ああ。いえ、お疲れだったらこのままで結構です。まだ時間もあることですし」
「は、はい・・・」
こういう場合お互いに気まずい。
「う・・ううん・・・・」
と、さっきまで気持ちよさそうに椅子に座って眠っていたヤンが眉を顰めてうなされている。起きるのだろうか?
「う・うう・・・・」
両手の指をなにやら物を掴んで押すような動作をしている。
「どうかなさいましたか?」
フェザーン自治政府から来た男が静かに寝ているヤンに問い掛ける。と、寝ていたと思ったヤンから応えがあった。
「どうしたもこうしたも、ブロックが・・・あーーー、駄目だ。目ぇつぶってるだけで落ちてくる」
「昨日はテトリスをおやりだったのですか?」
テトリスを一度でもやった事のある人間ならお分かりいただけると思うがアレを長時間やっているとやめたあとでも目を瞑るとブロックがおちてくるように見える。
「うん、単純作業だからいつまでたっても決着つかなくってさあ」
静かな声が心地よいかのように安心した声で応える。
「誰かと対戦なさってたんですか?」
「あーもー、昨日抜け出して何処で誰といたかぐらいお見通しなんだろう?お前には・・・・・・・・・・・・って、え?あれ?お前?って?」
「おや?昨日抜け出しておいでだったんですか?初耳ですね」
そこでようやっと目が覚めたヤンが目の前にいる人物を認めて目を瞬かせる。
「???あれ?」
「お初にお目にかかります。フェザーン自治政府より参りましたクライブ・マクレーンです」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「どうかなさいましたか?」
「あ?え?あ、いえ、ミスタ・マクレーン?」
「はい」
静かな雰囲気を纏った男は少し微笑んだようだ。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・、初めまして。ヤン・ウェンリーです」
穏やかににこりと笑い返した。
ヤンが沈黙していた事はいくつか理由があるが、見惚れて、首をかしげていたのだ。
整った鼻梁、艶やかな暗い色の髪、同じ色の涼やかな切れ長の目、すらりと高い背、無駄の無い所作、きめの細かい肌、腰にくるバリトン。もっのっすごおおおおおくいい男だ。しかし・・・
(何でこんなに目立たないんだろう)
影が薄いというか、なんというか物凄く地味に見える。
コレはどう考えても自分でそう仕向けているとしか思えない。
周りの人々からなんとなく好感をもたれる顔立ち・・・・そんな感じだった。
事実一番警戒の眼差しで彼を見たシェーンコップですら、「邪魔になったら盾にすればいいか」で感想を終らせたぐらいである。
しかし、その華奢な銀縁のメガネが素通しであることに気付いたのはヤンだけのようであった。
ヤンは暫く瞳を閉じて考えていたが、ふっと瞼を上げると優しく彼に笑って見せた。
(しまった、ブロックがふってきて考えまとまらなかった)
 
〜もう暫くお待ちください
 
今現在柏で二番目に若い子供たちは大観園の一室で頷きあっていた。
お互いの最終チェックを行っていたのだ。
今日の美時の服装は深紅のチャイナスーツ。服に同化しているように見えるが実に細かい刺繍がしてある。いつもはおろしているうざったい前髪を今日はすだれ風にしている。
一方真雪の服装は美時とおそろいの色違い、バレバレだろうが真っ青のチャイナスーツだ。本人初め周囲の人間はミニスカがいいという希望だったのだが、どう考えてもただじゃ済みそうも無いので暴れやすい膝上のキュロットというところに話が落ち着いた。髪は今朝方から美時が苦心してアップにしたうえで丁寧に巻いてある。父親が出ているTVも見ずに仕上げたかいはどうやらありそうだった。
ちなみに美時は左足、真雪は右足の所にご丁寧に昇竜が刺繍されている。
百花繚乱が予想される場内でも充分に華やかな一対となるだろう。
ガチャ
「時――、雪――、仕度は出来た?あらぁ、いいじゃない二人とも」
(たとえこの人に叶わないとしても:二人心の突っ込み)
女帝登場である。
彼女の本日の服装は白い肩のラインを強調した淡い紫色のドレスで胸元のどでかいアメジストのブローチの横から薄い飾りがヒラヒラとたれている。ストレートにされた長い髪はいったん上に上げられてからゴージャスに流れている。白い涙滴型の石がついた細かい銀の鎖がその髪にかっらみ付いていた。耳にはこれまたアメジストのすばらしいカットの大ぶりのイヤリング。
全身を彩る装飾品類は全てフェザーン最高の宝石店「黒曜」の特注品らしい。
いやみったらしいほどよく似合っている。
その本気を出せばかなりの超美女がこれ以上ないほど満面の笑みで双子に言う。
「用意できたんならそろそろいらっしゃーーーい。もう行くわよぉ」
えらくご機嫌に背を向ける。
取り残された双子は暫し絶句して顔を見合わせると再び閉ざされた扉を恐ろしいものを見るような目で見つめた。
「何であんなに機嫌がいいの?あの人は」
「なんか、昼前にどっか行って帰ってきてから妙に機嫌よくねえ?」
「「謎だ」」
こうして若干名の不安を内包しながらも、やっとこさいさい皇帝主催によるフェザーン人たちのための夜会は始まるのである。

 

長かった、もんのすっごーーーーく長かった。やっとパーティー始まるよ。
つーか、今回まだプロローグだし。しつこいっての。
つーか、なんだ?アレだね、こりゃ。今回フェザーン自治政府の平社員出張りすぎ。
あんた、何様のつもりさ。
しかし、このクライブ・マクレーン氏かーなーりりほさんのご贔屓を一心に受けております。
脇キャラのくせに・・・。ってゆーか、元々ロイヤンなのに・・・・。あ、ロイ出てきて無い。
しくしくしく、お願いだから見捨てないでぇ・・・・。
 
と、言うわけでこの間の問題の答えです。
「お酒呑んでから18禁な感じにいちゃついた後徹夜でテトリス」でした。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
ああ!ごめんなさい!!!石投げないでええ!!!!!!
(ふふふ、負ける喧嘩はしないのさ)←開き直り中
ああ!ごめんなさい!!!今度こそ反省しました!!!!
18禁は書けないけどさあ、お詫びに「徹夜deテトリス」な感じにいちゃついてる銀婚式済んだ馬鹿夫婦書かさして頂きますぅ!!!
ふえーーーーん。ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさいぃぃ。
(だって、一辺ぐらいふざけてみたかったんだもん)
 
てな感じに極悪駄文書き街道まっしぐらなりほですが、(しかし、小心者)次こそ、次こそは!
自己中大集合な傍迷惑パーティー内輪もめすんな!この馬鹿野郎供!!ってゆーか、嬉々として喧嘩してんじゃねえぞ其処!!!!!!!スペシャル(前半戦)をお届けさせていただきとう存じます。
うん、はやければ三日後くらいに。遅ければそのうちに(反省の色なし)


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