切ない片思い・・・を一応目指したもの〜学園ラブストーリー・・・一部嘘〜
こんな所で会えるなんて思っても見なかった。
入学式の桜の中に立っていた君を見たとき、どれだけ驚いたか解るかい?
声をかけようとしたけどなんていっていいか解らなかった。だいたい子供の頃少し遊んだだけの相手なんてそうそう覚えているものでもないだろうしね。
何時からだろうね・・・こんなもどかしい・・・苦しい思いを抱えてるのは・・・。
初めは確かに懐かしいだけだったのに。
「会長?生徒会長?」
自分が呼ばれていることに気付いてハッと思考の迷路から自分を引き戻す。
「ああ、君は1―Cの・・・」
「ミッターマイヤーです。クラス名簿持ってきたんですけど」
人好きのする笑顔で答える。
「ご苦労様、有り難う」
「なにか見えますか?ヤン会長」
ヤンが窓の外を眺めていたからそういったのだろう。
窓の下では一人の一年生がうじゃうじゃとよってくる女生徒をうざそうに追っ払っていた。
「ん、今年の一年総代は随分ともてるようだね」
「ああ、あいつですか・・・あんまり罪な事はするなって言ってるんですけどね・・・」
「君は、彼とは?」
「同じ学校だったんです。あんまり他人とは馴染まないやつでいつも女の子とか邪険にあつかってて・・・」
「でも君とは仲がよさそうだね」
「誤解のないように言っときますけど、ロイエンタールもああみえて良い奴なんですよ」
(・・・・・知ってるよ)
最近ボーっとしていると決まってあいつの事を考えてしまう。
あいつの指とか、唇とか。
(触れて欲しい・・・)
そう思っている自分が信じられない。
今までこんな事考えた事もなかった。異性相手にも、同性相手にも。
あいつだけ・・・あいつだけが特別だった。
あのヘテロクロミアに映るのは自分だけでありたい・・・。
子供っぽい独占欲だ・・・廊下で姿が見えると自分から逃げる癖にである。
これ以上近くにはいられない・・・この想いだけは知られたくない。
たとえあいつが覚えているにしても、今の自分だけは見られたくない。
こんな、くらい檻に囚われている姿は。
それでも
「オスカー」
指先まで黒い闇に染められた気がする
「見てるだけじゃ、足らない」
続く・・・かもしれない