宇宙歴???年 4月1日 フェザーン
百花咲き乱れる屋敷の前、生後半年にも満たない赤ん坊は、顔を真っ赤にして体中で泣いていた。叫ぶのではない、まだ彼女にそこまでの自我はない。
ただ、それでも、乳飲み子は泣いた。
ただそれだけが、生まれたばかりの彼女に許されたことだったから。
きっとしあわせ・・・ 第1話
その人をはじめて見たときの衝撃は、何に喩えればいいだろう?
爆発とか、激突とか、そんな過激な印象ではなかった。さりとて爽やかな風が吹き抜けた・・・というような生易しいものでもなくて。
そう、水。いや、そんな息苦しさもなかった。では御伽噺に出てくる弱水のようなものだろうか? とにかく、水があふれ流れ込んでくるのを感じた。
けれど、飲み込まれるとか、おぼれるという気分もまたなくて、なぜか一息で私にしみ込んだような。不思議な気分だった。しかし、それは全部「後から考えれば」といったようなもので、このときの私は一瞬の違和感に内心首を傾げつつも、現実的に頭は動いていた。
そう、現実的にその女性に見蕩れていたのだった。
私のそれまでの17年の人生というものは、かなり恵まれた、満足のいくものだった。厭味と思われようともかまわないくらいそれは事実だった。
家中の人間から愛されて育ち、たまに帰ってくる父親はそんな私の話を全部聞いてくれた。
寄宿舎の級友一同は変な生い立ちとしぶとい性格の人間ばかりで、教師たちは強敵だった。
恋人は戦死もせず和約が成立し、フェザーン遷都が決まったとき仕えていた伯爵家の老婦人はためらう私に微笑んで紹介状を手渡してくれた。
こんな充実した人間関係は、帝国でも珍しいんじゃないかと思う。
世の中に、愛されて育った人間は究極のところで強い。という言葉がある。
この激変中の世の中で、この先どんな大変事が起ころうとも、この環境で培われた基本人格は変わることなどなく、このままのテンポでおばあさんになるんだろうと、極自然に考えていた。
私は恵まれた環境を恥じてはいないが、その分果たすべき役割があると考えていたため、老婦人の紹介状が意外な威力を発揮し、仮皇宮に勤めることになったときも、「頑張って働こう」と思っていた。「その人」付きになると聞いたときも、神経質な人かな? いや、意外に無頼な人かも・・・。などと想像してみたりもしたが、善人にしろ悪人にしろ、誠心誠意お仕えして、くつろいでもらおうと当然のように考えていた。・・・それだけだったのだ。
「はじめまして、フロイライン・リーベルト。エマイユと呼んでもいいかしら?」
首をかしげて右手を差し出したその人は、今までの空想が寂しくなるくらい普通の人だった。
しかも、腰まで届く長い髪も、知的で涼やかな目元も、優しく耳をくすぐる落ち着いた声音も、おっとりとしたしぐさも何もかもが私の「理想の女性像」に限りなく近かった。
なぜ、「そのもの」でなかったのかといえばただ単に私の想像があいまいだったせいだ。
「よろしくね?」
惚けていた私に優しくにっこりと笑む。私は慌ててその手を握り返した。
「は、はい。よろしくお願いいたします」
「そうそう、先に言っておくけどわたし、贅沢は好きじゃないけどかなり我侭だから」
「は・・・?」
かなり曲者なその笑みをみた瞬間、もやもやした「理想の女性像」は速やかにこの女性に入れ替わった。空想が現実にまけるというのもどうだろう?
「その辺も含めて、よろしくね」
「あ・・・、はいっ。かしこまりました、ヤン・ウェンリー閣下」
そうして、私は自分の中で17年眠り続けていた最後の歯車が、「生来の」テンポの為に静かに動き出したことにも気づかず、心からの笑顔をヤン元帥にむけるのだった。
「まぁ、うまくいってるみたいで安心した」
「うん。心配してくれてありがとうアーダルベルト。こっちはまったく大丈夫」
私と恋人の休みがあったのは、フェザーンにきてから一月後のことだった。
バーラトの和約成立により帝国の人質となった元帥の侍女という勤め先は周囲にかなり心配をかけたらしい。けど、そのころには私も仮皇宮に慣れ、元帥ともかなり打ち解けていたので、安心して応えることができた。よかったよかった。
「顔あわせる機会は増えたんだけどな・・・、エマイユは口きいてくれないし」
「だから仕事中なんだって、アル・・・」
軍人のアーダルベルトと仕事中の私がなぜそんな会う機会があるかといえば、まだ河岸の定まってない軍幹部の方々が仕事帰りに仮皇宮でくつろいでいくのだ。
お茶とお菓子しかだせないのだが、「ヤン提督とおしゃべり」というのは、皆さんにはどうしようもなく魅力らしい。元々陛下は軍の人だからか軍部は近いし、もはや仮皇宮の春宵の間はサロン以外のなにものでもない。確かに値千金以上だろう。
「レッケンドルフとかバイエルラインとかとはよくしゃべってる・・・」
「あーるぅーー、だって仕事なのよ? 無愛想にしてるわけにいかないじゃない!」
「そりゃあいつらは人間として申し分ないし、俺より若いし、エマとつりあうけど・・・」
意外とその辺も気にしてたらしい。
「もぅなに馬鹿なこといってるのよ! レッケンドルフ少佐とか、バイエルライン閣下にしてみればこっちはただの侍女Aよ。それに私ハンサムよりも美人のほうが好みだもの」
「陛下は美人だし、年齢も一番つりあう」
「それこそ陛下なんて元帥閣下以外は眼中にないじゃない!」
陛下は春宵の間には来ないが、毎日午後のお茶にヤン元帥のところまでやってくる。
皇帝陛下がヤン元帥にべたぼれで求愛し続けているのは有名な話だ。オーベルシュタイン閣下あたりは初めのころその件でヤン元帥のところにもきてらしたが、今では気にするのも阿呆らしいらしく、ラインハルト陛下があきらめるのをまっている。それぐらい陛下はあっさり元帥に振られ続けていた。
「エマイユ、陛下が元帥に振られてしょげてたりしたって慰めたら駄目だぞ!」
「アル・・・、自分の年齢自覚してる? もうちょっと自信もってよね? 大体アルと陛下とロイエンタール閣下で帝国軍三大美人だってこの間レッケンドルフ少佐がいってたわよ?」
「(三大美人って・・・)・・・そういえば三大美人最後の一人はどうなるんだ?」
「ああ、だってロイエンタール閣下って問題外じゃない」
「エマ・・・、そのせりふはいくらなんでもあんまりじゃ・・・」
そんなに大したせりふじゃないと思ったんだけど、アルはがっくりとうなだれた。
「うー、ん。アルはロイエンタール閣下嫌いじゃないみたいだからいいにくいんだけど・・・私あの人あんまり得意じゃない・・・」
妻帯者のミッターマイヤー元帥の変わりなのか、両元帥府の部下たちを春宵の間に連れてくる・・・というか、どうみても「放牧にきている」ようにしか見えないロイエンタール閣下はヤン元帥とことさらにしゃべるでもなく独特の雰囲気で一人でくつろいでいる。
ほかの提督方みたく元帥に心酔していないことが気に障るのか、元帥にいらんちょっかいをかけられるかもしれないと心配なのかはしらないが、とにかく近寄りたくないのだ。
「エマ・・・?」
「あ、べ、別に嫌いってわけじゃないんだけど」
「そんな感じでそのあとはちょっとギクシャクした感じになっちゃいましたけど、まぁ十分リフレッシュできましたよ」
「そう? よかったわ。あなた一人でわたしの世話をさせているから疲れるでしょう? 気にせずもっと手を抜いてくれていいのよ」
普段は、そっけないしぐさや言葉なのだが、くつろいでいるときの元帥はゆったりとしゃべり、ゆったりと動く。その笑顔はどこか強いお酒を連想させた。
はっきりいってかなりつかみ所がない人なのだが、もう、つかめないくらい曲者なあたりが理想の極致だった。
「お言葉ですがヤン元帥。毎日おしゃべりばかりでこれ以上どうやって手を抜けと?」
「あら? わたしの相手も仕事のうちでしょう?」
「勿論です。けれどそれを一般に詭弁というのですよ」
はじめにいったヤン元帥の「我侭」ということばは冗談でもなんでもなく掛け値なしの事実だった。
ラインハルト陛下からのプレゼント攻勢は頑として受け取らないし、帝国側が用意した日用品の類も気に入らないものは絶対使わないので予算よこせば自分で買ってくるといって、一人でさっさと買い物にいってレシートとおつりまで持って帰るのだ。どのへんが人質?
身近に人が多いのは気疲れするといって侍女を一人しかおかないのだが、元々一人暮らしをしていたヤン元帥なので、仕事なんてほとんどないも同然なのだ。おかげでほとんど一日元帥を独り占めしておしゃべりなのだ。陛下や軍の方々が聞いたらさぞ羨むだろう。うふふ、侍女万歳。
身分の高い女性にはそれなりの格調が必要だという概念が頭から離れない帝国の文官がたはかなり粘ったらしいが、最後には元帥の「いやです」に撃沈させられたらしい。
帝国の貴族の妻女を基準に考えるなんて失礼千万だわ。
まぁ帝国貴族のヒステリックな性格には比べるべくもないが、元帥も我侭だった。けれど元帥のいう「我侭」とは「わずらわしいのは大嫌い」「かまうな」「なにもするな」極論すれば「好き嫌いが激しい」というもので、仕事中毒の人を別としてなんの負担にもならない。「あれは嫌い、これも嫌い」とはばかることなく口にする元帥が貴族たちとまったく違うのは、「嫌い」のあとに「だから・・・」がつくことだ。
『いい、黙って耐え忍ぶなんていうのが偉いなんてまったくの嘘よ。ストレスがたまるだけだわ。相手も同じことを我慢していたとしたら不毛の二重螺旋よね? だからわたしに不満があるなら遠慮なくおいいなさい。わたしの場合八割の確率で改めないでしょうけど・・・』
にっこりと笑う。
『あなたが我慢していることを思いっきり褒めてあげるわ』
もう、なんというか・・・、あっぱれだった。
勿論あっぱれな元帥閣下は「好き」にも遠慮がない人だった。
と、私がそんな回想をしていると、元帥は違うことを考えていたらしく悪戯っぽい笑顔で語りかけてきた。
「けどわかってるんでしょう? 恋人との中途半端な距離の原因」
う、痛いところを。
そう、私だってちゃんとわかっているのだ。アルが自信をもてないのは私がいつもいつも「逃げて」いるせいだということぐらい。一言「私が好きなのはアーダルベルトだ」といってしまえばアルだって落ち着くし、それから先にもつなげていけるのだろう。
私が尻込みしているせいでいまだに事実上「友達以上」でしかない。
私だってそこから先を期待してないわけじゃないのだが、ためらうにはためらうだけの理由もあるのだ。
「私はまだ17です。自分では子供なつもりはありませんが、アーダルベルトに悪い評判がたつのは嫌です。それに・・・、家の事情があって、そんな重荷をアルに背負わせたくないんです」
「うん」
なにも聞かずに言葉をまってくれる元帥の優しさが少し痛い。
「一度真剣に話したいとは、前から思ってるんです。どんなつもりで付き合っているかとか。けど、話し出したら私、とまらなくなりそうなんです。ていうか、私が何しでかすか凄くありありと想像がついて恐くてたまらないんです。半分正気じゃないような私のせいでアルの選択肢がなくなるのは嫌です。それに・・・、一番、アルに嫌われるのは・・・嫌、です」
震える私の肩を抱いてヤン元帥がソファーにすわらせて、あやすようにさすってくれた。
わたしが落ち着いてきたころを見計らって元帥がそっと口を開いた。
「うーん。けど、それって話だけ聞いてると、相手の覚悟の程がいまいちわからないせいみたいに聞こえるのよね。あ、そうだわ。いっそのこと煮え切らない相手に責任全部押し付けて排卵日まで待って押し倒すというのはどう?」
間。
「・・・・・・元帥、満面の笑みで物騒なことをいうのはやめてください」
「あ、あらぁ冗談よ冗談」
本気だ。この人は本気だ。
「それじゃあわたしがあなたの相手にそれとな〜く聞いてみようか?」
元帥大好き! 私は一気に浮上した。現金。
「それとな〜〜くですよ、絶対ですよ!」
「うん、わかった。それとな〜〜〜くね。エマイユちゃんの相手ってあの人でいいんでしょう?」
「お願いします、元帥! ちょっとでも脈ありそうだったら自分でどうにかしますから」
自分のあまりに必死な声音に自分で驚いてはっと我にかえる。
「・・・、馬鹿、みたいですね。好きになった相手がそんなに信用できないんでしょうかね。けど、不安なんです。愛されてるとは信じてるんですけど・・・」
「それがどのくらいか?」
「馬鹿、です。本当、馬鹿です。私アルに会うまでは自分がこんなに馬鹿だったなんて知りませんでした」
「うん、そうね。けど、楽しいでしょう? 恋愛に夢中で馬鹿なのも」
「・・・・・・・・・・・、はい」
正直に言ったら全身から力が抜けた。抜けたついでにいいのかな・・・と思いつつも口が勝手に動いていた。
「あの、元帥にもあるんですか・・・? そんな馬鹿だった経験が」
「あら、エマイユ。それは過大評価よ。わたしは現在進行形で大馬鹿だもの」
驚いた。
「わたしだってただ陛下の求婚ことわってるわけじゃないのよ? エーマーイユ?」
不思議な発音で私を呼んだ元帥は、不思議な笑顔を浮かべた。
「ただわたしの場合は片思いだから、輪をかけて馬鹿みたいよ」
「え・・・・。ってはああああああ!? 元帥が片思いいいいいいい!?」
どこの誰だ。そんな驚天動地なことやらかすのは!
「だから、わたしは陛下が振られても振られても求婚し続けるのをとめられないのよ。陛下にはいい迷惑でしょうけど、共感しちゃうし。だってそうでしょ? いくら振り向いてくれない相手だって好きな気持ちは目減りしないのよ・・・」
多分、私は泣きそうな顔になったんだと思う。元帥は私をみてことさらに笑った。
「さ、この話はまた今度してあげるわね。紅茶のお代わりを淹れてくれない?」
とても、綺麗な笑顔だった。
「でね、ハンス。あんな綺麗な元帥閣下をふるような男がこの銀河には存在するらしいのよ」
次の休み、私は実家の少壮の庭師に熱心に不満をぶつけていた。
自分のことを子供だと思ってはいないが、子供のころから世話になり続けた相手に台詞が子供っぽくなるのはこれはむしろ自然の摂理だと思う。
「信じられないと思わない?」
寡黙であたたかい性格の我が家の庭師は振り向いて苦笑した。
「お嬢様は、その・・・、なんというか、ヤン元帥がとてもお好きなんですね」
ハンスは黙って思慮に思慮を重ねるから、受け答えは自然ゆっくりになる。
なんというか、植物のテンポに近いんだと思う。
「ええ。だってとてもお綺麗でお優しいのよ。少し怖いところも、迫力っていう意味だからとっても素敵」
小さいころから私にとって「怖い」と「綺麗」は「強い」の要素だった。そんな「強い」人は昔から好きだった。けどまた別の括りで「優しい」も「強い」の要素で、アルやうちの家人もそんな「強い」人だった。
「ところで、その、付き合ってる方のことですが、旦那様には相談なさらないんですか?」
「だって、したくないんだもの。相手が相手だし」
「では、執事さんには・・・?」
「したら「それは旦那様に話さなくてはいけないことです」っていわれたわ。けど、まだお父様に話せる段階じゃないのよ」
「執事さんはその段階の前に、旦那様に話したほうがいい。といったのだと思いますよ」
「だから、それが嫌なんだってば。あ、もうこんな時間。マリアのお手伝いしなくちゃ」
日が暮れかけてきたのをみて、立ち上がる。
「あ、ハンス。早く家の中入らなくちゃだめよ」
と、いくら念をおしても夕食の手前まで庭にいる。そんな庭師だった。
家に入って、キッチンに行こうと階段の手すりに手を添えて軽やかに方向転換しようとしたところで、思いも寄らぬ人物に出くわした。
「お父様っ!」
って、ここは父様の屋敷なんだけど。
「エマイユ・・・か、久しぶりだな」
「そんな久しぶりでもないはずなんですけど・・・お久しぶりです」
フェザーンにきたときにもあったはずだが、その前の二年間なぜかすれ違いにすれ違いまくったので、なんどあっても「久しぶり」に感じる。別に会わなくても困らなかったからだけど。
けれど・・・。
「お父様・・・?」
そのまま通りすぎようとした父様が首をかしげてふりかえる。
「どうかしたか?」
「具合でもわるいんですの?」
「いいや?」
ハテ? と首をかしげる。今なにか変な気分だったのだが。そんな私に父様がかすかにあきれた笑みを見せた。
「どうした?」
「あ・・、私の、気のせいみたい、です」
「そうか」
そのまま3歩進んで、今度は父様が足を止めた。
「ああ、エマイユ、そういえば仮皇宮はどうだ?」
「上々ですわ。お世話している人が素晴らしいから」
胸を張って自慢したら、お父様の瞳が一気に冷えた。
「ずいぶん懐いたな」
「いけませんか?」
「懐く分にはかまわない・・・。ただあまりあの女に気を許すなよ」
「ちー様・・・・・、あの、女って・・・ヤン、元帥のこと・・・ですわよね?」
「今の文脈からしてほかの誰でもないだろ?」
「嫌だといったら?」
「好きにしろ。言うだけ言っただけだ」
今のは一体どういう意味?
「お父様、私が元帥に気を許したらお父様困りますか?」
用は済んだと言いたげな背中に問いをかける。
今度は振り向かなかった。
「俺は全然困らない」
私は針路変更して家中を探し回った。うちの執事を。
まったくこの屋敷はオーディンの家よりも狭いが、私を抜いて四人で住むには広すぎる! てゆーか、オーディンの屋敷が無駄に広かったのか・・・。
そして二階の廊下で古色蒼然とした雰囲気に身をつつんでいる老人を見つけると、飛び込むように食って掛かった。
「おじいちゃん!」
「こ、これはエマイユお嬢様。いかがなさいました?」
「お父様どうしたの!?」
「お嬢様・・・?」
「お父様、変よ。あの天然人外魔境(父親)がなんで人間世界のことに口をだすの? それに、なにかおかしいわ」
「何がおかしいとおもわれます?」
「だって、なんだか、怒ってたり、機嫌がよそうだったりするんだもの。まるで、人間みたいじゃない!」
「お嬢様、一応申し上げますが、旦那様は生まれつき人間です」
「だぁってぇ昔から形は人間みたいでも、なんか非生物みたいだったじゃない。有機物にすら見えないこともあったし。それとも私が子供だったから気づかなかっただけなの!?」
なんかもう、めちゃくちゃテンパっている。だって、怖かったんだもん。
「それは・・・多分、理由は想像がつきますが・・・」
「理由って・・・?」
声が半泣きだった。
「それは直接お嬢様がお聞きしたほうがよろしいと存じます」
老執事はにっこりと笑んだ。
続く
ハイ、そんなわけで新シリーズでございます。(自嘲)
書き始めたのって二年ぐらいまえだったかな・・・。第一稿をお持ちの方は笑ってください。(いわゆるチャットメンバー)
十話あたりまでかいた辺で挫折して一話から書き直しました。
まぁ内容はいわゆるアレです。(どれだよ)
問題作です。マジメなヤンさんファンはこないだろうという仮定のもと。
受難の申し子エマイユを応援してくれちゃったりすると、とても嬉しいです。
会話の温度差を感じてくださると、さらに嬉しいです。
ちなみに、ヤンさんがどえらく美貌のオネエサマに見えますが、これはエマ視点だからです。
顔立ちだけなら帝国軍三大美人のほうがよっぽど美人です。
なぜ錯覚がおきるかと申しますと、元帥が艶かしい・・・というか「生々しく女っぽい」からです。
人間顔より重要な要素は死ぬほどあります。その上で顔も磨きましょうね、エマイユ。
ただいま脳内wink祭り続行中です。ええ、あのウインクです。昔のアイドルの。
中古屋でCDをたまたま買ったらエンドレスで流してます。そろそろ頭イカレそうです。
もう、大っ好き。
幼い時のわたしの目に「この世にはなんて可愛い人がいるんだろう」と焼き付けられたウインクですが、CDをきくとモロ好みです。大人しげなのに歌詞はそこはかとなく演歌系、いや、艶歌系。
「背徳のシナリオ」とか「追憶のヒロイン」とか「ニュームーン逢いましょう」とか聞いてるとヤン・ウェンリーの性格が果てしなく凶悪になっていきます。
エマイユシリーズだと「咲き誇れ愛しさよ」と「おしゃれ泥棒」あたりかと。
ちなみに、エマイユのテーマは。何かのドラマのED?か何かだった小泉今日子の「My
Seet Home」です。
あー、あとフェザーン遷都と皇帝即位がバーラトの和約のすぐあとなのは勘弁してください。
今更「史実」なんて気にしてられません。軽く無視です無視。